ふれる
【活動報告】R5.11.18~26/宮原剛 企画展 『日々、記すもの。』
2024.03.13
秋から冬へと季節が移り変わろうとしていた2023年11月下旬。国道21号線を曲がると突如現れる「中山道鵜沼宿脇本陣」にて、日本画家・宮原剛さんによる企画展『日々、記すもの。』を開催しました。
和空間と日本画の融合
タイトルに『日々、記すもの』とあるように、宮原さんが日記を書くようにして制作した学生時代から近年までの作品32点が展示されました。会場の脇本陣で2mを超える絵画作品を展示するのは初の試み。作品と脇本陣の雰囲気を融合させるため、様々な工夫を施しました。
ー作品を畳に置く。
作品を壁に掛けず、畳の上に直接置いて立てかけるという斬新な展示を行いました。「固定しないと倒れてこない…?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、宮原さん曰く150号という大きさと重さがあれば倒れることはないということで、脇本陣ならではの距離で観ることが叶いました。
―イーゼル
絵を掛けていたイーゼルが畳の空間と融合し、渋い雰囲気を醸し出していましたよね。これらは、宮原さんが美術講師を務める長良高校から借りてきたイーゼルなのだとか。学校生活の雰囲気を帯びたイーゼルが作品の味をさらに引きだします。
―実寸大⁉スーパーボールすくい。
脇本陣のさらに奥へ進んでいくと現れる大きな絵。そこには、スーパーボールすくいをしている人々の様子が描かれています。上から覗き込むと自分が体験しているような感覚になりますね。また、 日本画はキャンバスを床に寝かせて描くため、制作者の視点でも展示を観ることができました。
目線を移すと、本物のスーパーボールとお花が桶に浮かぶという粋な演出も。
―掛け軸には猫たち。
掛け軸の作品として、猫があちこちでお出迎えをしてくれました。脇本陣は壁にピンを刺すことができないため、専用のフックを活用して作品が展示されました。
日本画の制作風景ってどんな感じ?
「日本画」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか。学校の授業で使った絵具とは違うの?と思う方多いのではないでしょうか。今回の企画展では、日本画の世界を知っていただく機会を提供するためワークショップやトークイベントを開催しました。
ー日本画体験ワークショップ『岩絵具で魅せるわたしのこころ』
企画展が始まる約2か月前の9月24日。各務原市産業文化センターとKAKAMIGA PARK BRIDGEの2ヵ所で、日本画体験ワークショップを開催しました。
日本画の特徴の1つが、鉱石などを原料とする岩絵具です。当日は本物の鉱石と、鉱石を砕いて作られた粉末状の岩絵具を並べて、その種類や性質を学びました。
岩絵具を膠で溶くと、絵の具として使用できるようになります。粒子の粗さによって濃淡が変わり、絵の雰囲気にも影響されるところも魅力の1つ。画材の成り立ちを知り、実際に作業を体験することで、だんだんと岩絵具に魅了されていきました。
初めて日本画を描くという方がほとんどでしたが、普段から教壇に立っている宮原さんが先生なので、参加者の皆さんの上達スピードも速い速い!完成した作品は、どれも初心者とは思えないほど綺麗な色合いで描かれていました。
ー《 作家講演会 》教えて宮原先生!画家の日常ってどんな感じ?
アートは作り手の話を聞くことで、作品への理解が深まり、観る側の視点が変わります。展示2日目、宮原さんへの質問形式で日本画に対する想いや、日常について深堀りするトークイベントを開催しました。
一日の過ごし方や、愛犬の話、高校の講師としての一面などなど、様々な話を伺いました。夜に制作することが多いそうで、自分と向き合える時間を探りながら今のスタイルが確立したそうです。
展示を通して
宮原さんとお話していると明るい印象を受けますが、決して順風満帆の画家人生ではなく、くじけそうな時は何度も周りの人や作品に支えられ、日本画家として人生を積み重ねてきたそうです。
作品を観ていると、宮原先生の喜怒哀楽が垣間見える気がします。実際に先生がどのような状況で、どのような思いで描いていたのかは想像の域を出ませんが、想像することがアート鑑賞の面白さの1つかもしれません。
各務原とアート
各務原市には、多くの文化施設があります。しかし、日常生活の中で訪れる機会は少ないという方も多いのではないでしょうか。また、アートも同じく、ふれる機会がないとどんな世界が広がっているのか分からないものです。
「アート」と「文化施設」を掛け合わせることで、今までにない展示世界を広げ、来場するきっかけをつくりたいと考えています。令和6年度の企画も現在進行中です。今月中にはお知らせができる予定なので、どうぞお楽しみに!