公益財団法人かかみがはら未来文化財団

ふれる

【活動報告】R4.11.19-20 / 歌舞伎を観るということ

2023.02.12

2022/11/19(土)・20(土)
「歌舞伎を観るということ」
会場:村国座


「歌舞伎」の魅力を新解釈

かかみがはら未来文化財団が企画する「文化をはぐくむ」事業の一環で、「歌舞伎」という文化を新たな層にアプローチする企画として、新しい「歌舞伎」の見方や楽しみ方を提案するトークイベントを開催しました。


「私と古典」をトークテーマに、1日目は、小説・音楽など幅広い分野で活動するクリエイター「いとうせいこう」さん。2日目は、小説家やミュージシャンとして活動する「町田康」さんをゲストにお招きし、ファシリテーターには、両日ともに情報科学芸術大学院大学[IAMAS]小林昌廣教授に務めていただきました。

11.19 DAY1 いとう せいこう

1日目の「いとうせいこう」さんは、ご自身の音楽の出自でもある「ラップ」との関係性を挙げ、歌舞伎の楽しみ方のひとつとして、古典芸能の世界を「ラップミュージック」のように鑑賞することを提案されていました。

独特のリズムで韻を踏んだ言葉を聞くときに感じる「耳心地のよさ」が古典芸能にもあり、「音で楽しむことで、歌舞伎は音楽劇なのだと再認識した」と語られました。

11.20 DAY2 町田 康

2日目の「町田康」さんは、出版されたばかりの『私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?』をなぞりながら、幼少期から現在まで、好きだった本や作家、影響を受けた民謡・浪曲・落語・ロックなどの芸能世界を小林教授と一緒に振り返りました。

パンク歌手から芥川賞作家、そして唯一無二の表現者へと進化してきた過程を伺いながら、「おもしろいか、おもしろくないか」がすごく重要だという、町田さん独自の芸能観が見え隠れする場面も。

「好きなものは、なぜ好きなのか?」と会場の観客に問うなど、シンプルなことを突き詰める町田さん。町田さんの本質が垣間見れたところで、この日は時間切れとなり、「歌舞伎」方面へのお話は次回に持ち越すこととなりました。

2日間を通して

今回の企画は、これまで「歌舞伎」を観たことがない方に、「いとうせいこう」さん、「町田康」さんというお二人のフィルターを通すことで、「歌舞伎」の面白さや魅力を感じてもらい、少しでも関心を持ってもらいたいという思いから企画しました。

トークイベントの先に

今回の企画から見えてきたのは、果てしない文化という広がりの中に、「歌舞伎」という古典芸能があり、その接点からまた果てしなく文化が広がっていく、そんな姿を感じることができたような気がします。2023年も、引き続き「歌舞伎を観るということ」を計画していますので、昨年生まれた片鱗を次回につないでいきたいと思います。