公益財団法人かかみがはら未来文化財団

つたえる

〈機関紙no.5インタビュー企画〉インドネシアから日本へ/インドネシアと日本の文化の違いとは。

2024.12.13

財団のこと、まちのこと、文化のこと、様々な情報を発信している機関紙『WHAT’S BUNKA』。no.5のインタビュー企画「ところでかかみがはらのみなさん「文化」ってどんなイメージですか?」では各務原にゆかりのある経営者、大学生、国内外からの移住者の方々へ、「文化」に対するイメージやご自身の活動についてインタビューを行いました。ここでは紙面では記載しきれなかった部分を加えご紹介します。

《外国×文化》
インドネシア出身 アルビ・アクラムル・ザルダさん

アジアの中で、お互いの文化はどのように映っているのか。各務原で毎年11月に開催する「KIAフェス1」で活動するインドネシア出身のアルビ・アクラムル・ザルダさんにお話を伺いました!

1: KIAフェス: 外国人・日本人が共につくりあげる、各国の魅力を紹介するイベントです。「KIA」はKakamigahara International Associationの略称。

日本に興味を持つきっかけはアニメや音楽だった

ーアルビさんの自己紹介からお願いします!

インドネシアから来ましたアルビです。2017年に初めて日本に来て、技能実習生として3年間働いていました。その後、インドネシアに戻りましたが、2023年にまた日本に戻ってきました。2回目の来日は、どうしても岐阜に戻りたい想いが強くて。ちょうど、岐阜で求人があり採用してもらえて、今はエンジニアとして働いています。

ー「日本に住もう!」と思ったきっかけは何だったのでしょうか?

アニメや音楽など、日本のエンタメが好きで来日しました。インドネシアにいた時から、L’Arc〜en〜CielやX JAPANが好きで、僕が小さい時から、朝ドラのように日本のアニメ番組を観ていました。僕の同年代は、ドラゴンボール、ドラえもん、ちびまる子ちゃんといったアニメを観ていました。

ー各務原と繋がるきっかけは何だったのでしょうか?

(1回目の来日で)可児市に住んでいた時に、日本人や他国の人とも関わる場がありました。僕と同じ技能実習生だった人が各務原市に住んでいて、その人やKIAフェスの方々に誘われて、KIAフェスに参加したのがきっかけです。新境川の桜とか、各務原には自然に触れられる場所が多いですよね。学びの森みたいに広くて自由に走ったり遊んだりできる公園はインドネシアでは見たことなくて、それがいいなと思いました。もちろん、KIAフェスで出会った皆さんも好きですよ!

KIAフェスの様子

インドネシアと日本の文化の違い

ーインドネシアと日本、どこに文化の違いを感じましたか?

日本に来てびっくりしたのがルールが多すぎることでした。「列に並ぶ時にもルールがあるんだ、これにもルールがあるんだ」と思いました。でも、1年間過ごして慣れてきました。逆に、インドネシアの食事ではスプーンやフォークを使ったり、直接手で食べることもありますが、日本では箸を使いますよね。僕はまだ箸に慣れないです。

ー列の並び方は日本独特の文化かもしれないですね。「食」について、印象に残っている食べ物はありますか?

日本で最初に食べたのが「かけうどん」で、味が薄くて「あれ、どういう味する?」と思いました。今は、うどんを食べる時はカレーうどんを選ぶことが多いですね。チリペッパーとか自分で持ってきて食べることもあります。

インドネシアで人気なのは「ナシゴレン」ですね。僕は、 味が濃くて焼き鳥みたいな「サテ」が一番好きです。インドネシアは島ごとに文化が異なるので、サテの味も島ごとに色々あります。僕はソースを付けますが、ピーナッツソース、唐辛子など他の味付けもあります。

ー宗教ごとに食べてはいけない食べ物があるとよく耳にするのですが、インドネシアでも何か決まり事があるのでしょうか?

イスラム教が大半を占めていて、豚肉やお酒を口にしないようにと言われています。なので、お酒を販売しているお店がなくて、旅行に来た人がお酒を飲むためには、クラブに行かないと飲めないです。

ー今日はインドネシアゆかりの服装で来ていただきましたが、インドネシアでの生活面にはどんな特徴がありますか?

これは「バティ」という服で、島ごとに模様や色が異なります。しかも、島の中は県に分かれていて、その県ごとに言葉まで違うんです。共通語は学校で習いますが、普段は地域ごとの言葉を使うことが多いです。他には、インドネシアは宗教が5つに分かれていて、一人ひとつ宗教を信じなければならない社会的なルールがあります。宗教ごとにお祭りがあるとみんなでお祝いしたり、(宗教は)生活に直結しているんだと思います。

ー日本も島国ですが、さらに多くの島で構成された国ならではの文化ですね。

KIAフェス2024ではバティの柄に色を塗る体験コーナーがありました!お花のようなものから迷彩のようなものまで多様な絵柄があり、1つひとつ布に色を塗っていく作業に思わず没頭してしまいました。

インドネシアの音楽を広めていきたい/言葉の壁を感じさせない音楽

ーこれから日本でやってみたいことはありますか?

踊りや歌など、インドネシアの文化を広めていきたいです。大学の時に、文化の部活に入り、よく演奏をしていました。その時間が楽しくて、また日本でも体験できる場をつくりたいと思うようになりました。

ー大学の時はどんな音楽をやっていたんですか?

ちょっと動画を見せましょうか。インタビューの依頼があった時、この踊りを紹介しようと思っていました(アルビさんに動画を見せていただきました)。大学の多目的ホールで、自分達でステージを組んでショーを開催しました。楽器を使って演奏する人や踊る人もいて、衣装も自分達で準備しました。タレンポン(Talempong)という金属を叩いて音を鳴らす楽器を使っています。これを日本で広めたいのですが、(演奏するには)メンバーがいっぱい必要なんです。

ー和太鼓ティンバレスの演奏に似ていて、言葉に関係なく楽しめますね。アマチュアとは思えないレベル、ぜひKIAフェスでも演奏して欲しいです。

住む場所によって「アイデンティティ」が育っていく

ーアルビさんにとって「文化」とは?

僕にとって文化は「アイデンティティ」かな。インドネシアには島がいっぱいあり、住む場所によって状況が変わります。例えば、日本にはルールがたくさん存在していたり、インドネシアには県ごとに言葉が存在している。そこに住んでる人が何を考え、どういう感情で過ごして行動するかによって、アイデンティティは育っていくと思います。

ー地域や国ごとの習慣が、長年にわたり積み重なり、独自の文化として育っていくんですね。